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~愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点マネージャーの想い~

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~愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点マネージャーの想い~

 副業人材の活用で自前主義を脱却。外部リソースと拓く“成果の果樹園”

経営環境が揺れ動くなか副業人材の活用が求められています。東京一極集中を是正しながら地方創生を図る、内閣府主導のプロジェクトであり、地域と連携しながら中小企業の活性化を目指す愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点。そのマネージャーを務める中川宏氏に、事業の取り組みや想いについて伺いました。

―中川様のご経歴についてお聞かせください。

1977年にトヨタ自動車工業に入社し、10年間、生産管理を担当しました。この時代がトヨタ生産方式を基礎とした私の社会人としてのコアコンピテンシーを形成したと思っています。その後、労働組合で10年間、産業政策や労働政策に携わり、国内営業やタイトヨタでのプロジェクトリーダー、インドのトヨタでは社長として従業員6000人や仕入れ先・販売会社などと6年間苦楽を共にしました。自動車用ホイールのトップメーカー中央精機の社長に5年間就任して(2019年退任)現在に至ります。

「1人の100歩よりも100人の1歩」

私が大切にしてきた言葉です。“1人のスーパーマンが100歩走って成果を出す”のと“100人が手を取り合って1歩だけ進み100の成果を出す”のとでは、将来への繋がりや生まれてくるものに大きな違いがあると思います。

とりわけモノづくりの世界では、最大のアウトプットを築くためにチームワークが大切です。中小企業の社長さんとお話しするときも、人材の気持ちをモチベートし、チームとして成果をあげていくことを意識してお話しています。

―愛知県内企業を取り巻く環境をどのように捉えていますか?

愛知県は自動車をはじめとする製造業が盛んな地域です。形の上では大企業が鉱工業生産を主導していますが、それを支えているのは、数多くの中小企業です。そして、それを取り巻く様々なジャンルの中小企業や人々があって社会が成り立っています。愛知県全体の産業振興は中小企業抜きには語れません。

世の中の製品やサービスは、どれもが連続したサプライチェーン・バリューチェーンの中で、多くの人が役割や責任を果たし、支えることで形づくられています。

中小企業が社会を支え、いろいろな人と繋がって、経済社会がまるで生き物のように動いていると肌身で感じます。大変ありがたい経験をさせてもらっています。

製造業の現場に訪問を行うことも多い。

―以前、中小企業を取り巻く環境について、「大変革期」とおっしゃっていました。中小企業の経営をご支援する立場からどのように思われますか?

経営のかじ取りが難しい時代になっています。①大きな構造変化課題(例えば少子高齢化、カーボンニュートラル、素材イノベーション、自動車電動化等)と ②直近の困難な問題(ex.エネルギー・原材料の高騰、円安インパクト、コロナ影響、労務費、価格改定等)課題を挙げればキリがありません。先行きが見えず、変化のスピードが速くて波も大きい。そんな時代に従業員の生活を守りながら会社を発展させ、継続していかなければならない。中小企業にとって厳しい時代だと感じます。

しかしながら、この厳しい状況をビジネスチャンスと捉え意欲を燃やす人もいます。一方で、半ばあきらめて流れに身をまかす人もいて、二極化していますね。厳しい状況を認識せず、何も考えていない三極目もあるかもしれません。

ビジネスは大小を取り混ぜた「課題解決の連続」です。大切なのは、課題を認識するかしないか。課題に気づかなければ準備もできませんし、ある日突然降りかかったときに失敗してしまいます。チャレンジ目標を設定し、現状とのギャップを確認し、それを埋めるための課題を設定するアプローチもあります。

常に課題を発掘(設定)して、課題を明示し、対処法を考えて手を打つこと。このサイクルを回すことが大切です。

しかし、このサイクルをうまく回せなかったり、間違った課題認識をしてしまう経営者もいます。だからこそ、「本当の課題は何か」を深く掘り下げ、気づきを得ていただくように心掛けています。

大変革期において、なぜ外部人材活用が重要になるのでしょうか。

課題に気づいても、解決するまでの道のりは並大抵のことではありませんし、社長一人でできることには限りがあります。役割を分担し、いかにチームの力をフルに発揮できるかが重要ですが、そのためのリソースが不足している中小企業が多いのも事実です。だからこそ、足らざるノウハウ・知見を外部リソースで補い、有効活用することが肝になります。

優先順位をつけることも大切です。やりたいこと、やるべきことを10、20と挙げ、難易度が高くても成果が大きく見込めるものを優先順位の上位にします。さらに、それらを3つ以下に絞り込み、少なくともそのうち1つは最後までやりきるのす。あきらめずに形にすることで人も組織も変わり成長します。やりきるために、外部人材をどう活用するかが重要なのです。

―外部人材活用において、印象に残っているエピソードはありますか?

ある事業承継した社長との出来事です。この若社長は自社製品を構成する購入部品のハンドリングが旧態依然なことを課題に感じていました。しかし、よくよく話を聞くと、今それができていないのは、多忙過ぎること、盛り上がらない改善マインド、従業員の危機感不足など、これまで蓄積されてきた企業風土に問題があることがわかったのです。若社長が本当にやりたかったのは、企業風土の変革でした。そこで、常勤の外部リソースの採用を検討したのですが、社内に新しい人材が入ることの影響を恐れて、なかなか決断できない。そこで、副業人材の採用の提案に切り替えました。副業人材の逐次投入によりステップ バイ ステップで社内に外部からの風を入れていこうと考えたのです。

企業に新しい血が入れば、社内の反発や揺れがあるかもしれません。それでも、本当に変革をしたいのなら、社長が雇用者のスポンサーとなって守らないといけないし、その覚悟も必要です。この提案に至るまでのプロセスは私にとってインパクトのあるものでした。

―外部のリソースに何を期待していますか?

複雑で変化の激しい時代。中小企業はこの荒波を限られたリソースで乗り越えなくてはいけません。課題を洗い出し、優先順位をつけて、やるべきことをやり抜くためには、必要なリソースの確保が必要です。

今いるチームに新しく外部人材が入れば揺れや反発が起こるでしょうし、社長も腹をくくらないといけません。それなりに高い投入コストとリターンの問題もあるでしょう。だからこそ、「副業」という切り札にはとても意味があると思うのです。

―「副業人材の活用」には具体的にどのような意味があるとお考えですか?

2つ意味があると思います。一つは、副業人材を限定的に使って課題解決できること。目前の具体的課題を乗り越えひとつの果実をつかみます。もう一つは、外部のリソースを活用できる経営者自身の経営センスの醸成や、新しい人材を受け入れても抵抗なく、共に働く風土を築けることです。副業人材の採用は、自前主義からの脱却の好機会であり、成果という“つぎの果実”を生み出すための“果樹園づくり”なのです。

そのためにも、「まずは副業人材を採用してみよう」とアプローチし、実際に採用して良いと感じたら、2回、3回と続け企業風土を変えていく。それが進化の道のりだと思います。

―最後に、愛知県内企業の経営者や担当者の方々にメッセージなどあればお聞かせください。

壁にぶちあたってくじけそうになったら、「世の中、なるようにしかならない」と、リラックスして心を整えること。そして最後は、「なるようにするぞ!」と気持ちを高ぶらせることです。人間は誰でも挫折することがあります。そんなときは、一人で固まらないで様々な人の力を借りて活用してでも気持ちを切り替えていくことが大切ですね。

「1人の100歩よりも100人の1歩」

「早く行きたければ1人で行け、遠くへ行きたければ100人で行け」

外部人材の活用は企業に新たな良い風をもたらす可能性を秘めています。経営課題解決を目指して質の高い外部人材を活用したいという愛知県の企業様は、ぜひ愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点にご相談ください。

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