
企業名: アイティップス株式会社
所在地: 愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目2-32 STATION Ai
事業概要: 特定技能人材育成事業(教育・研修センター運営)、就業支援および定着支援事業、企業向け人材戦略コンサルティング、海外教育機関との連携開発
「すべてのがんばる人に、幸せを」というミッションを掲げるアイティップス株式会社。日本の高い技術力を世界に広めるため、インドで「人づくり」事業を展開しています。そんな同社が次のステージへ進む切り札として、外部人材を使ったブランディング強化に踏み切りました。なぜ外部人材を活用しようと考えたのか。具体的にどのように活用してどんなメリットを見込めるのか。同社 代表取締役のクマール・ラトネッシュさんにお話しを伺いました。

■外部人材を活用するに至った経緯を教えてください。
当社は2022年に設立し、ようやく創業期を脱しようという段階に来ています。しかし足元を見ると、若手を育成するためのリソースは不足しており、多くの社員が日々の業務に追われ、新たなプロジェクトや業務に従事するような余裕もありません。高度なスキルや実績を持つ人材を正社員として雇うほどの体力も持ち合わせていません。こうした中、必要な業務をピンポイントで切り出して依頼できる副業・兼業人材を受け入れるのが有効と考え、外部のプロフェッショナル人材を探すようになりました。
そんなとき、愛知県にある「プロフェッショナル人材戦略拠点」が、外部人材と企業をマッチングする事業を実施していると聞きました。こうした支援事業があることを知らなかったのですが、プロフェッショナル人材戦略拠点の担当者から詳しく案内いただき、活用することにしたのです。
■具体的にどのような業務を担当してもらおうと考えていたのでしょうか。
当社は、日本の人手不足とインドの若年層の就職難という課題解決に向けて、日本の現場とインドの職人を繋ぐプラットフォーム「oyakata(オヤカタ)」を運営しています。インド国内で日本式の技能訓練校を運営し、インド人にゼロから技能を指導し、特定技能人材として日本の企業とマッチングするプラットフォームとなります。日本企業とインドの若者、さらには地域社会をつなぐ持続可能な人づくりのサイクル構築を目指しています。こうした取り組みは当社ならではの独自性があり、他社には負けない強みでもあると考えています。この当社のビジョンを社外にしっかり発信していき、ビジョンに共感いただける仲間を増やしていきたい、その取組をサポートする人に加わって欲しいと常々考えていました。
そこで今回、ブランディングに関する経験が豊富な方に当社のマーケティング業務を担当してもらうことにしました。

■実際に採用した方を選んだ決め手は何だったのでしょうか。
採用した方と面接したとき、当社事業への共感度が非常に高いと感じたのです。当社の想いを世の中に発信するブランディング業務を任せるには、抽象的な思いや気持ちを表現するスキルや経験が求められます。その点において今回採用した方は、面接時に当社が秘める思いを実際に言葉で表現してくださったのです。「こんな人と仕事を一緒に進められればいいな」と率直に感じられたのが、何よりの決め手となりましたね。
なお、外部人材を採用するというハードルの低さも、スムーズな採用活動を後押ししました。正社員を採用することになれば、外部人材を採用するより慎重にならざるを得ません。応募者に少しでも違和感があれば採用を見送り、採用活動の長期化さえ招きかねません。しかし、外部人材の採用なら「まずはやってみよう」という姿勢で積極的に採用に踏み切れます。こうした点も外部人材を受け入れる利点だと思いますね。

■採用した方は現在、具体的にどのような業務に携わっているのでしょうか。
ブランディングやマーケティング業務を任せるにあたり、業務開始から約3ヵ月は、私へのヒアリングと言語化に時間を費やしてもらいました。「社長が何を考えているのか」を明確に言語化したいと言っていただき、まずは会社や私の姿勢を徹底的に整理してもらいました。
言語化プロセスを経て、会社の軸となる価値観を打ち出し、現在はファン獲得や増加に向けた取り組みに従事しています。メルマガやメディアを通じた情報発信による社外向けのブランディングに加え、会社の価値を社員に理解してもらう社内向けのブランディングにも尽力してもらっています。これまで具体的な施策さえ立てられませんでしたが、外部のプロフェッショナル人材に参画してもらったおかげで、ブランディングの方向性を明確に示せるようになったのが一番の変化であり、一番の成果ですね。

■外部人材の参画当初、周囲はどのような反応を示したのでしょうか。
社内では当初、外部から参画した人に警戒心を示す社員もいました。ただし、時間の経過とともに警戒心は解消されましたね。今振り返ると、私が社員に対し、外部人材の役割をきちんと周知していなかったことが警戒心を生む一因になったのではと反省しています。外部から副業・兼業人材などを受け入れる際は、社員との溝が深まらないようにする会社側の配慮が何より求められると痛感しましたね。
■外部人材を実際に活用して感じた課題を教えてください。
会社の価値観を明確化したり、ファン獲得施策を実施したりできたのは大きな成果です。しかしできることなら、業務の一部を完全に切り出し、私が関わることなく手離れさせて任せてしまいたいという思いもありました。一方で時間的な制約がある点も理解しています。外部人材にどの業務まで任せるのかを事前に考えておくことが大切だと考えています。

■外部人材による成果を最大化するには何が大切だと思いますか。
今回採用した方はオンラインでの業務が中心でした。周囲の社員との距離を縮めたり、社員に自社の価値を理解してもらうブランディング施策を実施したりするには、オンラインだけでは難しい側面があります。不定期の訪問などを通じて、社内で何気ないコミュニケーションを図るだけでも距離は一気に縮まるはずです。こうした取り組みを作っていくことでより大きな成果を見込めると感じました。
新たな仕組み・制度を根付かせるには、社員が共感し、社員と一緒につくり上げるというプロセスこそ重要だと考えます。施策の良し悪しを検討する以前に、社員は施策に共感するのか、全社一丸となって施策を実行するには何が必要なのかを考えることが大切ですね。
■今後は外部人材をどのように活用したいと考えていますか。
特に必要としているのは、営業戦略の策定や目標の数値化に携われる外部人材です。まずは今回のブランディング施策の反響をしっかり精査し、コンタクトしてきた人に営業を実施する「反響営業」を展開したいと考えています。このとき、どのような戦略を打ち出すか、どんな数値目標に基づいて行動するかを決められる外部人材の活用を模索しています。
今後もさまざまな業務で外部人材を積極的に活用したいと考えています。ただし、その人の働き方や勤務時間を考慮すべきだと思います。例えば、当社が携わっている「0→1」の創出フェーズでは、24時間頭を動かし続けなければなりません。そのため、決められた時間だけ働く副業との相性は決してよくありません。
一方、経営者が関わることなく外部人材に任せる業務を定義できれば、その業務を完全に切り離すことができます。今後は当社でも業務領域を明確に分け、外部人材に積極的に業務を任せられるようにしたいと考えています。

■最後に、外部人材を活用しようと考えている企業へのメッセージをお願いします。
リソースが限られるスタートアップ企業や中小・中堅企業こそ、外部人材を積極的に活用してほしいと思います。ただし活用するには、外部人材の役割を明確にし、その人の得意とする業務や領域を任せるという姿勢が大切です。リソース不足を解消したいと考えている企業なら、その業務を任せられるかどうかに主眼を置き、外部人材を採用するのが望ましいでしょう。
まずは副業として参画できる外部人材を探すのも一案です。副業として関わったのち、いずれはフルタイム採用に切り替わる可能性もあるからです。自社の今後を担う人材を探す最初のステップとして、副業の外部人材とのつながりを築くことにも目を向けるべきですね。
自社が想定する外部人材になかなか出会えないと、採用活動をつい諦めてしまうかもしれません。しかし、本当に必要だと感じたなら、まずは試してみるべきです。不要ならすぐに辞めてもらうという雇用の柔軟性を備えているのが外部人材の特性です。こうした利点を活かし、企業は外部人材を積極的に受け入れる姿勢を持つべきだと思います。

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